今日は少しニッチな記事を書きたいと思います。
前回理系大学院生が留学することの意義という記事を書いたのですが、それに続く形で書きたいと思います。
1, 有機化学とは
なんでしょう。小学生か中学生の時に有機物は燃える、無機物は燃えないみたいなことを習った気がするのですが、有機化学とは大雑把に言ってしまえば炭素を含んだ化合物についての研究といったら良いんでしょうか。
特に今の時代でこれに答えるのって難しいですね。
無機化学とか物理化学とか生物化学などのいろいろな分野が複雑に絡み合っているという印象です。
中には超分子化学というドラッグデリバリーシステムや液晶開発などに用いられる新しい分野(金属と有機化合物のコラボレーションによって新たな機能を見出す分野)これも一応有機化学の研究室で研究されています。
単に有機化合物についての研究といっても、例えば反応の触媒として金属は平気ででてきますし、分析もしなければなりません。
そして分子の構造について計算する技術もありますので計算化学についても学ばなければなりません。反応を考える上でも分析過程でも物理の知識も確実に必要になってきます。
何が言いたいかというと、有機化学って専門的な分野にも関わらず本当に広い知識が必要な大変な分野なんですよってことです。
2, なぜ有機化学を選んだのか
これがめちゃくちゃ単純なのですが、大学の授業で反応機構の勉強をしているときに「なんかおもしろそう」と思ったからです。
嫌いという方もいるのかもしれませんが、僕自身は目に見えない反応を、電子の動きなどから自分で予測して紙の上に反応機構を考えて書くことができるのってすごく楽しいなと感じました。
もちろん実験をしていて思うようにいかないことがほとんどですけどね。そこもそこでおもしろいところなのかな?
とにかく有機化学を選択する時点ではなんかおもしろそう。くらいの感想しかもっていなかったことは確かです。
そして実際に実験を始めたときに勉強していたことを実際に手を動かして実現させる。知識を使って新しい化合物をつくっていくことに更に楽しさを覚えました。
そして気づいたらもうやめられないところまで来ていました。
3, 有機化学を続けていく中で
もちろんたくさんの苦労があるわけで特に僕の場合は自分の知識不足、実力不足を常に感じながら自己肯定感はほぼ0でやってきました。
特に日本の大学の研究室は厳しく、実際に研究で手を動かす時間、研究について考える時間を考えたら他の事なんてしてる暇がない!という印象です。
[aside]実際研究だけにフォーカスせず他の事(バイトや留学)をしようとしても有機研ではそんな自由な研究室はまずありません。かつ、平気でアカハラまがいなことも起こります。[/aside]具体的にどうとは言いませんがそれで不登校になる生徒も少なくありません。
なんでそんな環境下で続けるのか。やはり好きだからなのでしょうか。僕は自分の思い描いた合成経路で化合物が合成出来たとき、面白い物性が見れたときなどは最高に楽しいですし、なんか見た目綺麗!とかかっこいい分子ができそう!みたいなのも好きです。
すごく価値のある学問だとも思います。化学の進歩無くして現在の生活におけるモノの豊かさというのはあり得ないからです。
ただ先ほども書きましたが、やること多いし化学以外の教科選択してたらもっといろいろ幅広いことができたんじゃないかなぁと思うこともあります。
誰かに何の研究してるの?って聞かれたときどうせ自分のニッチな研究分野なんて誰も理解してくれないなんて卑屈に思うことも多々あります。
でも別に有機化学者は世のため人のために研究を行っているんじゃない。もちろんそういう人もいると思いますが、
「ほとんどの化学者が好奇心で研究を進めているんだ。だから自分も自分の研究に自信を持とう。」
そんなことを考えながら日々研究に取り組んでいます。
4, 今後の目標
さてそんな僕ですが、やっぱり人生において化学を辞めるという選択肢はしたくありません。
しかし性格上どうしても研究室にこもりっぱなしというよりかはだれかと関わったり、視野を広くして生きていたいというのが本音としてあります。
どうするか。
まだ正直わからん、、、、というのが実際のところ。
一つ言えるのは、いま日本の有機化学専攻の学生が激減しているという問題を変えるために動きたい。という気持ちがあること。
これからもっと真剣に考えていこうと思います。
なにか考えや意見がある人はDMやコメント等で教えてくださると非常に助かります。
では少し雑な記事になりましたが本日はここまでにします。