ということで今日は化学系の学生である僕が消毒液の正しい知識について解説していきたいと思います!
アルコール消毒液の成分と効果
さて一般的に消毒液に含まれる成分はエタノール!
そして消毒用エタノールはそのエタノールの濃度やその他少量含まれる成分によって殺菌作用を調整しているようです。
アルコール類は細胞膜を通過することができる。
つまり簡単に言うと細菌の細胞の中に入り込み、直接菌の内側にダメージを与えて殺菌するということ。
アルコールはもちろん人の細胞もいくつか壊すかもしれませんが、人間の細胞は無数にあるのでほとんど関係ありません。
対して細菌は単細胞であるため即死である。
また酸性のものにも、より殺菌作用があるといわれているので、弱酸性の消毒用アルコールもあるみたいですね。
イソブロピルアルコールと呼ばれるエタノールより少し重い分子のアルコールがあるのですが、こちらもアルコール消毒に用いられることがあるそうです。
じゃぁなんでメタノールだめなん?みたいな話になりますが、次の章で説明します。
メタノールとエタノールの違い
メタノールとエタノールの違いなんてほとんどないでしょう?
と考えている方いらっしゃるかと思いますが、全く異なります。
さて少し化学の知識になります。
エタノールの化学式はC2H5OH
構造式はこちら
と書きます。Cは炭素 Hは水素 Oは酸素
わざわざHをまとめずにOHと書いたのはヒドロキシ基といって、水との親和性が良い部分です。これがあるとアルコール類とくくられるようになります。
メタノールの化学式はCH3OH
構造式はこちら
となります、炭素と水素減っただけじゃん、何が問題なの?
実際問題はメタノールではないんです。人の体がもつ消化酵素の問題です。
さてもう少し頑張ってください。ここから少し難しくなります。
エタノールの分解(酸化)
エタノールが体内で分解されると酸化されて2段階の変化を遂げます!
構造式と化学式出しますが、そんなことどうでもいいよ!って人は読み飛ばしてください。
エタノール (C2H5OH)
⇓
アセトアルデヒド (CH3CHO)
⇓
酢酸 (CH3COOH)(いわゆる、お酢*)
*酢酸は濃度が100%ですが、市販に売られている食酢は基本水で薄められています。なので、食酢で臭いといっていると、実験室で使う酢酸の臭いかいだら気絶します。
という感じで分解されていきます。
エタノール⇒アセトアルデヒド⇒酢酸
ですね。
そうです。最終的には無害な酢酸になるのです。
もちろん体内には大量の水分があるので薄められて全く無害な酢へと分解されます。
じゃぁメタノールは?実はメタノールも最終的にはそこまで有害なものにならないのです。
メタノールの分解(酸化)
メタノールもエタノールと同じような感じで分解されていきます。
メタノール (CH3OH)
⇓
ホルムアルデヒド(HCHO)
⇓
ギ酸(HCOOH)
メタノール⇒ホルムアルデヒド⇒ギ酸(蟻酸)
これも最終的にはほぼ無害なギ酸(アリが持っている酸なのでギ酸)となります。
とはいかないんですね。
人が持つ分解酵素
そこで、実はエタノールもメタノールも最後まで分解されると無害な物になることがわかりました。
では何が違うのでしょうか。
答えは最後まで分解できるかどうか。なのです。
人はアルコールを分解し、アルデヒド(中間のやつ)に変える酵素はもっていますが、そのあとのアルデヒドをカルボン酸(最後のやつ)に変える酵素が特定の物にしか働かないようになっています。
人が酔っぱらうのはエタノールが分解されたアセトアルデヒドのせい。
そんなわけでメタノールは分解されるとホルムアルデヒドでとまってしまいます。
で、そのホルムアルデヒドが問題です。ホルマリンって聞いたことありますか?あの標本とか防腐処理に用いられるやつです。
ホルマリンはホルムアルデヒドを水に溶かしたもののこと。
防腐処理しちゃうとか聞くだけで有毒な感じしません?
ホルムアルデヒドは非常に厄介です。
架橋する能力が高く、人の目の視神経と強く相互作用し、失明を引き起こすことが知られています。
だから目散るアルコールなんて言われるんですよね。
そんなわけでメタノールは絶対口にしないように!
僕自身は実験で濃度ほぼ100%のメタノールを使っているわけなのですが、まぁ毎日そこそこ手で触ったりはしてます。
さすがに飲んでいるわけではないので今のところ何も目に異常はありませんが、体内に浸透するものなので気を付けるに越したことはありません。
極力使用は控えましょう。
消毒用アルコールの代替品は?
これは正直難しい。
ただあまりいいたくはないのですが、スピリタスなどの高濃度のお酒を70-80%程度に薄めて使うのが一番効果的なのでは?
手を洗う程度ならそのような手法でも十分な気がします。
ビールとかその辺のアルコール度数低いものはあまり効果がないと思います。
あとは、うがいで酢を使うことですかね。あまりやりたくはないですが、、、
しっかり情報を把握するとコロナウィルスの怖いところは
・感染力
・潜伏期間の長さ
・効果的な薬がない
・肺炎を併発する可能性が高い
などが原因であり、決して致死率の高さが問題ではないということ。
インフルエンザの方がよほど致死率は高いです。
焦らず情報の取捨選択をしていくことが求められます。
正確な情報を得ることが大切
いかがでしょうか。
ご存じだった方もいるかもしれませんが、知らない人も多いはずです。
正しい情報であせらずに動くことも大切になってきます。
中国で効果のある薬の研究も進んでいるようですし、僕はもうまもなくいい方向へ行くと信じています。
もう少しの間振り回されることになりそうですが、頑張って乗り切りましょう。
では本日はこれで。